AIにどこまで仕事を任せるべきか
前回は、AIによって職種そのものが無くなるというより、職種の中にある一つひとつの作業と、人が担う役割が変わっていくという話をしました。
AIが担える作業の範囲は、これからも広がっていくでしょう。
では、私たちはAIにどこまで仕事を任せればよいのでしょうか?
まず考えるべきなのは、AIによって現在の業務をどう変えたいのかです。
- 作業時間を短くしたい
- より多くの仕事を処理したい
- 日々繰り返している作業を自動化したい
- これまで手が回らなかった新しい仕事に取り組みたい
目指す成果によって、AIに任せる範囲は変わります。
作業時間の短縮が目的であれば、人が仕事を進める中でAIの支援を受けるだけでも効果があります。
同じ作業を繰り返しているのであれば、一連の流れを仕組みにし、自動化することも考えられます。
重要なのは、最初からできる限り多くの仕事をAIに任せることではありません。
「AIに何ができるか」から考えるのではなく、「現在の業務をどう変えたいか」から考える。
その目的が決まれば、AIに任せるべき範囲も見えてきます。
まずは人の支援から始める
AIを利用するときは、初めから大きく業務を変える必要はありません。
まずは、現在行っている仕事の中にAIを取り入れ、人の作業を支援するところから始められます。
人が目的を決め、AIに指示を出し、その結果を仕事に活用する。この段階では、これまでの進め方を大きく変えずに、作業時間を短縮できます。
利用を続けることで、AIに任せやすい作業と、人が判断した方がよい仕事も見えてきます。
十分に活用できることが分かれば、AIに任せる範囲を少しずつ広げていきます。
必要な部分では人が結果を確認しながら進めれば、現在の業務に合わせた形でAIを取り入れられます。
効率化から自動化へ
人がAIを使って作業を速くすることが「効率化」だとすれば、人が毎回操作しなくても処理が進む仕組みを作ることが「自動化」です。
効率化だけでも、同じ時間でより多くの仕事を処理できるようになります。納期を短くしたり、日々の負担を減らしたりすることにもつながります。
さらに、繰り返し利用する作業の流れを仕組みにすれば、人が直接手を動かす時間を減らすことができます。
ただし、すべての作業を自動化する必要はありません。
人がAIを使った方がよい部分と、仕組みとして自動化した方がよい部分を分けることで、業務に合った使い方ができます。
AI導入は、決められた一つの形に会社を合わせることではありません。
その会社が抱えている課題や、目指している成果に合わせて、AIの使い方を設計することです。
人は何を担うのか
AIに任せる範囲が広がると、人が直接行う作業は少なくなります。
その一方で、何を目的にAIを使うのかを決めることや、AIによって生まれた時間をどこに使うのかは、人が考える必要があります。
- より多くの仕事を処理するのか
- 納期を短くするのか
- 働く時間を減らすのか
- 顧客との対話や新しい企画など、これまで手が回らなかった仕事に取り組むのか
AIは作業を支援できますが、どこを目指すのかまでは決めません。
AIを導入することで、人は作業をこなすことから、目的を決め、成果につなげる役割へ移っていきます。
なぜAIを使うべきなのか
ここまで、3回にわたってAIと人の仕事について考えてきました。
AIは、人が行ってきた作業の一部を担うようになります。しかし、それによって人の仕事がすべて無くなるわけではありません。
AIに任せられる作業はAIに任せ、人はその力を使って、より多くの成果を生み出す。
AIを使う理由は、単に仕事を速く終わらせるためだけではありません。
限られた時間と人手を有効に使い、これまでできなかった仕事に取り組めるようにするためです。
まずは人の仕事を支援するところから始め、必要に応じてAIに任せる範囲を広げていく。そうすることで、それぞれの会社や業務に合ったAI活用ができます。
AIによって何を変え、どのような成果を生み出したいのか。
その目的に合わせてAIを使いこなすことが、これからの企業や人に求められると考えます。